「腕を上げると肩に激痛が走る」「後ろに手を回せなくなった」「夜中に肩の痛みで目が覚める」——これらは四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)の典型的なサインです。
四十肩・五十肩は40〜50代に多く発症しますが、放置すると可動域の回復が遅れ「凍結肩」として長期化することがあります。一方で、時期に合ったストレッチを行うことで回復を大幅に早められます。
タカです。体操歴20年・フィットネスインストラクター歴5年。この記事では四十肩・五十肩の仕組みを解説し、痛みの段階別に安全に行えるストレッチ4選を紹介します。
重要:急性期(強い痛みがある時期)はストレッチより安静が優先です。まず整形外科で診断を受けてから、回復期以降にストレッチを始めてください。
四十肩・五十肩とは何か【3段階の経過】
四十肩・五十肩の正式名称は「肩関節周囲炎」。肩関節を包む関節包・腱板・滑液包に炎症が起き、可動域が制限される状態です。以下の3段階で経過します。
①急性期(1〜3ヶ月)
炎症が強く、安静時・夜間にも強い痛みがある時期。この時期は無理なストレッチが禁物です。痛みのない範囲でごく軽い振り子運動(コッドマン体操)のみ行います。
②慢性期(3〜6ヶ月)
強い痛みは落ち着くが、肩の可動域が制限されている時期。今回紹介するストレッチを行う主な対象期間です。適切なストレッチで癒着した関節包をほぐし、可動域を回復させていきます。
③回復期(6〜18ヶ月)
痛みが軽減し、可動域が少しずつ戻ってくる時期。ストレッチに加えて軽い筋力トレーニングを組み合わせ、完全回復を目指します。
以下のストレッチは主に慢性期〜回復期を対象としています。急性期の方は必ず整形外科に相談してから行ってください。
四十肩・五十肩に効くストレッチ4選
①コッドマン体操(急性期〜慢性期)
【姿勢】前傾姿勢でテーブルや椅子に健側の手をついて体を支える。患側の腕を力を抜いてぶら下げる。
【動き】ぶら下げた腕を重力に任せて前後・左右・円を描くように揺らす。筋肉に力を入れず、腕の重みだけで動かすのがポイント。
【ポイント】「運動」ではなく「重力を使ったリラクゼーション」のイメージ。急性期でも痛みがない範囲で行えるほど負荷が低く、関節包の癒着予防に効果的です。
【時間】各方向30秒×1〜2セット
タカ体験談:四十肩を経験した受講者の方がコッドマン体操を毎朝続けることで、夜間痛が2週間で軽減したケースを何度も見てきました。「何もしないより動かした方が早く治る」という感覚を、この体操が教えてくれます。
②タオルを使った後方牽引ストレッチ(慢性期)
【姿勢】背中でタオルを縦に持つ。上の手(健側)でタオルの上端、下の手(患側)でタオルの下端を持つ。
【動き】上の手でタオルをゆっくり上に引き上げる。患側の腕が後ろ・上方向に引っ張られる感覚でキープ。
【ポイント】引っ張られる量を少しずつ増やす。「痛気持ちいい」の範囲に留め、鋭い痛みが出たら即中止。手が届かない場合はタオルを長くするか、短い距離から始める。
【時間】30秒×3セット
③壁這い上げストレッチ(慢性期〜回復期)
【姿勢】壁に正面(または側面)を向いて立つ。患側の手を壁につけた状態から始める。
【動き】指を少しずつ壁を這わせるように上に動かしていく。痛みが出る直前で止まり、そこで5秒キープ。少しずつ指の位置を上げていく。
【ポイント】毎日行うことで「痛みなく届く高さ」が少しずつ上がっていく変化が可視化できるため、モチベーション維持に効果的。壁にマスキングテープで高さを記録しておくと改善度がわかります。
【回数】1日2〜3回×自分の限界高さまで
④クロスボディストレッチ(慢性期〜回復期・後方関節包)
【姿勢】立位または座位。患側の腕を水平に前に伸ばし、健側の腕で肘を体の反対側に引き寄せる。
【動き】肩の後ろ側(後方関節包)に伸びを感じる位置でキープ。患側の肩が上がらないよう、肩を下に下げる意識を持つ。
【ポイント】後方関節包が硬い四十肩に特に効果的。「肩の後ろが伸びている」感覚がなければ、腕をもう少し体に引き寄せる。
【時間】30秒×3セット
四十肩・五十肩の予防習慣3つ
①日常的に肩を動かす
四十肩は「使いすぎ」より「使わなさすぎ」で起こることが多いです。デスクワーク中は1時間に1回、肩を大きく回す(肩甲骨を動かす)習慣をつけてください。
②猫背・巻き肩の改善
猫背・巻き肩は肩峰下腔(肩の骨の隙間)を狭くし、腱板が摩擦しやすい状態を作ります。姿勢改善が四十肩の予防に直結します。
③入浴でしっかり温める
肩関節は血流が少なく冷えやすい部位です。湯船につかって肩まで温めてからストレッチを行うことで、組織の柔軟性が高まり可動域回復が早まります。
肩甲骨まわりの柔軟性を同時に高めたい方は肩甲骨はがしのやり方完全ガイドもあわせてご覧ください。
よくある質問
Q. 四十肩と五十肩の違いは何ですか?
A. 医学的には同じ「肩関節周囲炎」です。40代に発症するものを四十肩、50代のものを五十肩と呼ぶ習慣がありますが、症状・治療法に差はありません。
Q. 四十肩は放置すれば治りますか?
A. 自然治癒することが多いですが、1〜3年かかるケースもあります。ストレッチや理学療法を行うことで回復期間を大幅に短縮できます。放置して癒着が進むと「凍結肩」となり回復が困難になるため、早期のケアが重要です。
Q. 痛みがあるのにストレッチしていいですか?
A. 急性期の強い痛みがある間は無理なストレッチは禁物です。「じんわりとした伸び」の感覚で、「ズキッとした鋭い痛み」が出ない範囲に留めてください。痛みが強い場合は整形外科に相談することを強くおすすめします。
まとめ
- 四十肩・五十肩は急性期・慢性期・回復期の3段階があり、段階に合ったケアが必要
- 急性期はコッドマン体操のみ、慢性期以降からストレッチを追加する
- タオル後方牽引・壁這い上げ・クロスボディの3種目で可動域を段階的に回復させる
- 壁這い上げで「届く高さ」を記録すると回復の実感が得やすい
- 猫背改善・日常的な肩の動かし・入浴で温めることが予防と回復の両方に効果的
まずは整形外科で診断を受けてから、慢性期以降に「コッドマン体操」から始めてみてください。腕の重みに任せた揺らし運動が、固まった肩関節を少しずつほぐしていきます。
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